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ユニヴェールは、それこそ才能に溢れた人たちが集まってくる。だから上を見ようと思えば思うほど挫折を繰り返すんだと思う。
僕はきっとお前以上に女らしいと思うし、その自覚があるし、そうなるようにお前がユニヴェールに来る前の一年間でそういうことを学んで身につけた。
そしてお前はまだ入学してからそんなに経っていないのに、そんな女らしさだけでなく男らしさまで求められて困るよな……。
でもさ……、支えられないかもしれないなんて悲しいこと言うなよ。
お前、今日だって、前にアイツがここにきたときだって、僕のことを助けてくれたじゃないか。
僕が肩にもたれたって、お前は倒れたりしないだろう。そりゃちょっと手加減はするけどさ、と肩を借りる。
薄目で立花を確認すると、さっきまでの悲しい表情は消えて、僕に肩を貸せることが嬉しいというように微笑んでいるのがわかる。
本当はちゃんと言葉にして言えたらよかったのに、あの悲しい表情をしたお前を見たら、何も言えなくなって口を噤んだ。
何か一つを間違えたら、全部失くしてしまうといったような必死さがお前の中にはどこかあって、その答えを見つけてしまったら、このままじゃいられなくなるような……そんな、恐ろしさを気配として感じていた。
しばらくしてそのまま眠ってしまったんだということをカイさんがやってきたことでようやく気づいた。
なぜかカイさんは僕たちのことを無断で写真に撮っていて……、普段こんな風に、誰かと自分が映っている写真を見る機会がなかった僕は恥ずかしさで混乱したけれど、「消すか?」とカイさんに確認された瞬間に「待って」と声をかけてしまった。
とりあえず現像して渡してくれるというけれど、この写真もらったとして、どーしたらいいんだ……。壁に飾る、のはナシだな。額にいれて飾るのも、どうなんだ……。生徒手帳の裏側……、にでも入れておけば失くさなくてすむか……。
立花は写真をもらってどうするんだろう。同じように「待って」と声をかけて消してほしくないって同じように思ってくれたとして、その気持ちはどういう意味を持つのだろう。
段々と知りたいと思うことが、一つ、二つと、どんどん増えていってしまう。
でも知りたいと願えば願うほど、それが正しい行動なのかわからなくなる。お前のあの悲しい表情が浮かぶから。
肩を貸してもらったことにお礼を言うと、立花は申し訳無さそうに、「私も白田先輩に寄りかかってしまっていたようで……」と謝りたいという声色で話しかけてきた。
きっと、立花にとっては僕に寄りかかるってことは大それたことで、拒否されると思うような行為だなんて思ったのかもしれない……。確かに写真を見たら、立花の方が明らかに僕に寄りかかってたようにみえたけど、寄りかかられてる間はそんなこと気づきもしなかった。
寝てる間の出来事だろうとも、立花が僕の肩を借りてくれたことが何となく嬉しくて、「そうなの? 気づかなかった。じゃあ、おあいこだな」と僕は笑った。
気にしなくていい、という気持ちを込めて。

たかさか
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