(ぐわ~~~!! 嘘だろ、俺寝てた~~~!?)
気づいたのは、朝だ。
今日は珍しく昼からの仕事だったこともあって、仕事に遅刻しなくて済んだものの、春歌に向けて送ったメッセージの返事を読んで音也は絶望した。
(はい。待ってます)
待ってくれている、といったのに、俺はそのまま寝落ちして彼女のことをすっぽかしたのか。春歌からは本当に心配そうに「音也くん、大丈夫かな。今日はわたしも寝てしまいますが、また今度会えるの楽しみにしてますね」と気遣いに溢れたメッセージが送られてきていた。
とにかく謝らなきゃ、と自分から会いにいく、と言ったのにすっぽかしてしまったことが本当に申し訳なくて、音也は慌てて電話をかける。
「はい。あ、音也くん、おはようございます」
「春歌! おはよ~!」
元気よく挨拶をされて、声も聞けてホッとする。何しろ最近は、朝も早く夜も遅い。電話だって出来なかったわけだから、こうして声を聞くのだって久しぶりだ。
「ごめん~~! ごめんね、あの、昨日、会いにいこうと思ったんだけど」
「あ、いえいえ。最近音也くん、忙しいですし。寝ちゃったのかな? と思ったので」
気にしないで、という春歌の返事のあとに、ちょっと気になることがあるというように春歌はさらに話を続けた。
「音也くん、ちゃんと睡眠は取れていますか?」
「ん? えーと……昨日は久しぶりにたっぷり寝れたかな……」
「よかった。音也くんのスケジュールが大変なことになってるというのは事務所でちょっと小耳に挟んでいて……、睡眠はしっかり取らないと身体に響きますから!」
電話口のむこうで、春歌が両手で拳を作って、ちゃんと寝てくださいね、というように自分にむかって気合をいれてくれている姿が音也はなんとなく想像できて笑った。
一方で、そんなことを言う彼女自身はどうなのだ、という素朴な疑問が音也も沸く。
「春歌もちゃんと寝てる? 徹夜はしてない?」
「えっ。わたしはいいんです、わたしはその……」
「いいわけないだろ〜。春歌もちゃんと寝ないとダメ〜。わかった?」
「わかりましたっ!」
「それで俺、今日はぜ〜ったい春歌の部屋行くから! わかった?」
「……えっ! はい! わかりましたっ!」
よし、と彼女のことを勢いで納得させて、音也は「じゃあ、また夜ね」と名残惜しいけれど電話を切る。
今日こそは。
今日こそ俺は、絶対に春歌が起きている時間に仕事を終わらせて、彼女とイチャイチャする時間を作るんだ、と拳を握ってそれを天に音也は誓うのだった。

たかさか
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