「あのさ、ちょっと聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
音也がソファに座っていると、お茶を持ってきてくれた春歌が隣にやってきた。そして彼は、真剣な眼差しで問いかけてくる。
「はい。なんでしょう」
「春歌はさ、どうして作曲家になろうと思ったの?」
「え? それは、音楽が好きだからですよ」
「それだけ? ほら、他にも理由とかあるでしょ? たとえば、お金が欲しかったから、とかさ」
「えっ、と……。そうですね。確かに、お金が欲しいと思うこともありました。でも、一番は音也くんと出逢ったから、かもしれません」
「俺と?」
「はい。作曲を勉強すればするほど、自分の曲が売れればそれで生活できるようになります。でも、それはつまり音也くんをアイドルとして応援できなくなるということですよね。……それは嫌だなって思ったんです。音也くんの夢を叶えるためにも、わたしは自分の夢を叶えようと思いました。それが、一番の理由です」
「……そっか」
音也は小さく息をつくと、春歌の手を握った。
「ありがとう、春歌」
「えっ?」
「俺のためにそこまで想ってくれて嬉しいよ。これからもよろしくね!」
「はい!こちらこそ、よろしくお願いします!」
元気いっぱいに返事をした春歌は、にっこりと微笑んだ。すると、音也もつられるようにして笑顔になる。そのまま見つめ合っていると、どちらからともなく唇を寄せていった。
ちゅっ、と軽いリップ音が響く。
「……春歌」
「はい」
「キスしてもいい?」
「……もちろんです」
二人はもう一度、触れるだけの口づけを交わす。
音也はそのまま春歌を押し倒すと、何度も何度も彼女の唇を奪った。次第に激しくなるキスに、春歌は戸惑いつつも受け入れていく。やがて音也は春歌の耳元に顔を埋めると、熱を帯びた声で囁いた。

たかさか
※コメントは最大500文字、5回まで送信できます